痰が出る(1,2週間以内)
結果をもとに適切な病院・診療所を提案します
痰が出る(1,2週間以内)の基礎知識
概要
痰は風邪など多くの病気で出てくる症状です。1,2週間以内で自然に治まるようなものであれば、重大な病気はまれです。痰以外に目立った症状がなく、痰そのものでそこまで困っていなければ2週間程度は様子をみてよいです。
一方で、重大な病気が原因の痰もあります。具体的には、肺炎、肺結核、肺がんなどです。ただ、痰が出るようになったときに毎回こうした重大な病気を疑って検査を受けることは現実的でありません。
痰に血が混じる、38度以上の発熱が何日も持続している、息苦しさが強い、意識がもうろうとする、強い胸の痛みがある、などは危険なサインのため、医療機関を受診してください。主な診療科は一般内科、小児科などで、呼吸器内科が特に専門です。COVID-19流行による受診制限などもあるので、事前に電話で問い合わせて受診してください。
原因とメカニズム
気管支や肺では、外から入ってきた細菌やほこりをからめとって出すために粘液が分泌されます。風邪、気管支炎、気管支喘息、肺炎などでは、細菌や炎症が原因で粘液の量が増え、痰の量が増えます。
タバコを長年吸っている人では気管支や肺にしつこい炎症が生じるため、常に痰が出やすい状態になっています。
考えられる病気
痰はよくある症状であり、様々な病気が原因となります。また、多くの痰は1,2週間以内に自然に治まります。もちろん、何らかの病気が隠れていれば3週間以上痰が続くこともありますが、痰が出るたびすぐにそうした病気のための検査をすることは現実的でありません。したがって「長引く痰の原因となる病気」に書いたような病気が最初から疑われることはまれです。
かぜ、インフルエンザ、気管支炎など
広い意味での風邪です。特に治療をしなくても自然に治癒するものが多いです。
肺炎、胸膜炎
肺に細菌が感染するなどして炎症をおこした状態です。かぜとは異なり、早期に抗菌薬を使って治療することが望ましいです。かぜよりも38度以上の高熱が長引きやすい、黄色くドロッとした痰が出やすい、などが特徴ですが、症状だけで見極めるのは難しいです。
長引く咳の原因となる病気
気管支喘息、アトピー咳嗽、肺がん、肺結核、非結核性抗酸菌症、肺気腫(COPD)、間質性肺炎、気管支拡張症、胃食道逆流症、後鼻漏、心不全、感染後咳嗽、薬剤性咳嗽、心因性咳嗽 など
このように多様な病気が挙げられます。痰が2,3週間以上長引く人や、痰で繰り返し困っている人ではこうした病気の可能性もあるため、呼吸器内科などの診察を受けることが望ましいです。
怖い病気
肺炎、胸膜炎
放置すると肺の中で膿を作って重症化したり、人によっては命に関わることもあります。38度以上の発熱が何日も続いたり、胸の痛みが強かったり、黄色くドロッとした痰が多い人などで疑われる病気です。
長引く咳の原因の中での怖い病気
長引く咳の原因として上に挙げた病気の中には命に関わる病気も少なくありません。しかし、痰が出始めて1,2週間以内の早期で、これらに関する検査を行うのは現実的ではありません。痰が2,3週間以上長引くときには、こうした病気も疑って検査が勧められます。
受診の目安
以下のような時は、危険な病気の可能性がありますので、速やかな受診が必要です。
・38度以上の発熱が丸3日以上続いているとき
・痰だけでなく息苦しさが出現し、肩で息をしているようなとき
・70歳代以上の人で、痰と38度以上の熱が出ているとき
・血痰が出るとき
診療科
痰で困っている人が受診する診療科は、内科、小児科、呼吸器内科です。症状が急であり、夜間休日の受診になってしまう場合には、救急外来の受診もやむを得ません。しかし、基本的には救急外来は応急処置を行う場なので、しっかりと継続的に診てもらうには平日の日中に内科、小児科、呼吸器内科などを受診した方がよいです。
内科、小児科
1,2週間以内に治まる痰の原因の大半は、風邪や気管支炎などの感染症です。この場合には大人は内科、子どもは小児科で対応可能です。
呼吸器内科
一時的な痰であれば内科、小児科でほとんどの咳に対応が可能です。しかし、そちらを受診したうえでより専門的な検査や治療が必要そうな人は、呼吸器内科を紹介されることがあります。
はじめから呼吸器内科を標榜している診療所やクリニックを受診するのもよいと思われます。必要に応じてより大きな病院や他の診療科に紹介してくれます。紹介状や割り増し受診料が必要になったり、待ち時間が長くなるため、いきなり大病院を受診することはお勧めできません。
検査
痰に関連した検査には、次のようなものがあります。
胸部レントゲン(X線)検査
レントゲンを撮影すると、肺炎などの病気をチェックできます。手軽な検査であり、多くの医療機関で行うことができます。
胸部CT検査
レントゲンでは写らない細かな病気を診断するためにはCT検査が行われます。放射線被曝や検査費用の問題もあるため、重大な病気の可能性が考えられる人以外には必ずしも行われません。
血液検査
痰と直接結びつく情報が得られることは多くありませんが、全身の状態をチェックするためによく行われる検査です。
細菌検査
痰の中に含まれる原因菌を調べるために、痰を採取して検査することがあります。
治療
原因の病気がはっきりとしている人では、その病気の治療が大切です。症状を和らげる治療としては、痰の量を減らしたりネバネバ度合いを減らしたりする目的で、ムコダイン®やムコソルバン®などがよく処方されます。
セルフケア
痰は眠れない原因にもなって辛いものです。乾燥していると痰がネバネバして不快なので、乾燥しているときには湿度の調整が効果的かもしれません。