尿の出る回数が変化した(1週間前以上から)
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尿の出る回数が変化した(1週間前以上から)の基礎知識
概要
排尿回数が1日8回以上である状態を頻尿といいます。頻尿は加齢の影響で起きやすく、自然な変化の範囲内であることも多いです。一方で、前立腺肥大症や過活動膀胱、糖尿病などの病気が隠れていることもあり、治療で症状を和らげられるかもしれません。
排尿回数の少なさを定義する言葉はあまり使われませんが、1日の排尿回数が1回から2回であれば少ないと考えてよいです。排尿回数が減る主な原因には神経因性膀胱や脱水症、腎不全などがあります。
排尿回数の変化について相談したい人は泌尿器科を受診してください。泌尿器科が近くになければ内科でも相談にのってもらえます。
原因とメカニズム
排尿回数の増加と減少では、その原因やメカニズムが異なるので、分けて説明します。
排尿回数の増加
排尿回数が1日8回以上である状態を頻尿と言います。頻尿の主な原因は次の3つです。
- 膀胱の尿が出きらない
- 膀胱が過敏な状態である
- 飲水量が多い
「膀胱の尿が出きらない」は前立腺肥大症という病気でよくみられます。尿が膀胱に常に残ってしまうので、すぐに尿が溜まって尿意を催してしまいます。
「膀胱が過敏な状態である」は過活動膀胱という病気でよくみられます。膀胱に尿が溜まっていないのに膀胱がその刺激を過大に感じ尿意につながります。
「飲水量が多い」は飲水量が増えると、それにともない排尿回数も増加するという自然な反応です。
排尿回数の減少
排尿回数が減る原因は主に2つあります。
一つは作られる尿の量が減ることです。飲水量が少なかったり、心臓や腎臓の機能が落ちたりすると、尿量そのものが減少し排尿回数も減ります。
もう一つは尿の流れが悪くなることです。前立腺肥大症や神経因性膀胱などになると、膀胱から先の流れが悪くなり、排尿回数が減ったと感じます。
考えられる病気
尿の回数が変化する病気として次のものが考えられます。
前立腺肥大症
前立腺肥大症は前立腺に良性の腫瘍ができて前立腺そのものが大きくなる病気です。頻尿の原因になることもあれば、前立腺が大きくなりすぎた影響で排尿がしづらくなり排尿回数が減る原因にもなります。
前立腺炎
前立腺炎は前立腺に炎症が起こった状態です。慢性化すると排尿回数の増加や残尿感といった症状が現れます。
過活動膀胱
過活動膀胱は膀胱が刺激に対して過敏になった状態で、頻尿の原因になります。高齢女性に多い病気です。
神経因性膀胱
神経因性膀胱は膀胱にある神経が上手く機能しない病気です。膀胱の動きや尿意に影響し、頻尿を起こすこともあれば、尿意を感じないため排尿回数が減少することもあります。
心不全
心不全は心臓の機能が低下した状態です。夜間頻尿の原因になります。
腎不全
腎不全は腎臓の機能が低下した状態です。尿を作る量が減るので、排尿回数が減少します。
脱水症
脱水症は体の水分量が不足した状態です。そのため、尿量が減少し、出た尿も濃い色をしています。
糖尿病
糖尿病は血糖の調節が上手くできなくなる病気です。尿に糖が多く含まれるようになり、そのため尿量が増加し頻尿の原因になります。
膀胱炎
膀胱炎にはいくつか種類があります。主なものは細菌感染によるもので、この場合は抗生物質(抗菌薬)を使うことですぐによくなります。一方で、感染が原因ではない膀胱炎も存在し、頻尿や下腹部痛などの症状がしばらく続くことがあります。
怖い病気
排尿回数の変化が、緊急で対応が必要な病気の症状であることはほとんどありませんが、その背後に糖尿病や心不全、腎不全といった病気が隠れていることがしばしばあります。糖尿病や心不全、腎不全はきちんと治療しなければ命に関わる病気なので、症状の原因を突き止めておくことをお勧めします。
受診の目安
次のような症状がある人は受診を検討してください。
- 残尿感がある
- 尿意切迫感がある
- 尿をしばしばもらしてしまう
- 排尿間隔が以前より極端に短いまたは長いと感じる
- 尿の色調に変化がある
- 下腹部に痛みがある
- 意識がもうろうとしている
- 手足がむくんでいる
上記は受診の目安となる症状ですが、それ以外にも気になる症状がある人は医療機関で相談してください。
診療科
排尿回数の変化について相談したい人は泌尿器科を受診してください。近くになければ、内科でもかまいません。
泌尿器科
泌尿器科は膀胱や腎臓といった排尿に関係がある臓器を専門としています。排尿回数の変化がある人は膀胱や腎臓の状態をチェックしてもらってください。
内科
泌尿器科は多くはないので、近くにない人がいるかもしれません。その場合は内科で相談してみてください。膀胱や腎臓の検査ができることもありますし、治療もできることがあります。また、泌尿器科の受診が必要な場合には適した医療機関を紹介してくれます。
検査
尿の回数に異常がある人には次のような診察や検査が行われます。
診察
お医者さんが患者さんの身体を観察したり聴診器を当てて中の音を聞いたりします。前立腺の病気が考えられる人には直腸診(前立腺を直腸越しに触れる診察方法)が行われることがあります。
尿検査
尿に含まれる成分を調べます。腎臓や膀胱に炎症が起こっていれば白血球が検出されますし、糖尿病の人からは糖が検出されます。
超音波(エコー)検査
腎臓や膀胱の状態を確認するために行われます。また、心臓の動きや脱水の有無などについても調べることができます。
血液検査
脱水や腎不全、心不全の有無を推定するのに役立ちます。前立腺の病気が考えられる人にはPSAという前立腺がんの腫瘍マーカーも調べることがあります。
治療
治療は原因によって異なりますが、多くの場合、薬を飲み続けなければならないことも少なくありません。前立腺肥大症であれば手術で治ることもありますが、手術を選ばないのであれば、薬を使って上手に付き合うことになります。過活動膀胱や神経因性膀胱では手術が選択肢とならないことが多いので、薬を頼りに過ごすことになります。
また、心不全や腎不全、糖尿病といった全身に影響を及ぼす病気はそれぞれの治療が上手くいくと排尿回数が落ち着くこともあります。
セルフケア
治療と同様にセルフケアも原因によって異なります。過活動膀胱であれば、膀胱訓練といって、排尿前に我慢をすることが治療になりますし、心不全による排尿回数の増加であれば水分を控えることで症状の緩和が期待できます。