耳が聞こえにくい(数日以内)
結果をもとに適切な病院・診療所を提案します
耳が聞こえにくい(数日以内)の基礎知識
概要
聴力が急激に低下する原因としては鼓膜損傷、音響外傷、中耳炎、突発性難聴などのケガや病気が挙げられます。耳垢が詰まっている(耳垢塞栓)、メニエール病、なども原因となることがあります。
急に耳が聞こえにくくなった人は耳鼻科を受診してください。受診が遅れると聴力の回復が悪くなることもあるので、耳鼻科が開いている時間帯の中でなるべく速やかに受診することが望ましいです。
聴力以外にも何らかの急激な症状があれば救急外来の受診でもやむをえませんが、救急外来で耳鼻科医の診察を受けられる医療機関は多くありません。そのため、耳鼻科が開いている時間帯で早めの受診が推奨されます。
原因とメカニズム
音は空気の振動として伝わり、鼓膜を振動させます。その振動は耳小骨、内耳を経て内耳神経(聴神経)を通じ脳に伝わり、人間が音を感じ取ります。その経路のどこかが障害されると、聴力が低下します。
例えば鼓膜損傷で鼓膜が破れた人、メニエール病で内耳に浮腫が起きて音の振動が伝わりにくくなった人、聴神経腫瘍ができて聴神経が障害された人などで聴力が低下します。
考えられる病気
数日以内に急激に聴力が低下する原因としては、以下のような病気やケガが考えられます。
音響外傷
非常に大きな音を聴いた後で起こる聴力障害です。鼓膜ではなく、耳の奥にある細胞がダメージを受けます。大音量でヘッドホンで音楽を聴く、コンサートに行った、などが関係します。症状は片耳・両耳どちらでも起こります。耳鳴りを伴うこともあります。
鼓膜損傷
鼓膜に強い圧力がかかったり、綿棒で傷つけるなどして穴が開いてしまうことです。穴が空いた部位に感染を起こさないか注意が必要ですが、感染がなければ自然に塞がることが多いです。
中耳炎
鼓膜のすぐ内側にある部位、すなわち中耳に炎症が起きている状態です。ウイルスや細菌が感染して炎症を起こしていることが多いです。
突発性難聴
突然、片側の耳の聞こえが悪くなる病気です。ストレスや睡眠不足、糖尿病などが関係していると言われていますが、詳細な原因は分かっていません。ステロイド薬を中心とした治療が行われます。発症後1週間以内に治療を始めると後遺症が残りにくいと言われており、速やかな耳鼻科の受診が必要です。
メニエール病
めまいや吐き気、耳鳴りを伴って、耳が圧迫されるような感覚や難聴が起こります。通常は片側の耳だけの症状であり、数時間〜24時間程度でめまいは改善します。一方で、難聴の進行を予防するのは困難です。
薬剤性難聴
抗菌薬や抗がん剤の副作用で耳がダメージを受けて難聴となります。原因となる薬剤を中止しても症状が残る種類の薬剤と、中止で改善する薬剤があります。
ラムゼイ・ハント症候群
帯状疱疹という感染症の一種で、顔や耳の水ぶくれと痛み、顔の筋肉の麻痺、聴力の低下や耳鳴りといった症状があらわれます。後遺症が残る可能性が高いため、早めに受診して、抗ウイルス薬とステロイドを使用した治療を始める必要があります。
受診の目安
急激に耳が聞こえにくくなった人は、基本的には速やかに耳鼻科を受診してください。例えば突発性難聴では、治療が1週間単位で遅れると後遺症が残りやすくなることが分かっています。
聴力以外にも何らかの急激な症状があれば救急外来の受診でもやむをえませんが、救急外来で耳鼻科医の診察を受けられる医療機関は多くありません。そのため、耳鼻科を受診できるタイミングでなるべく早く受診するのが望ましいことが多いです。
診療科
耳鼻咽喉科
基本的に耳鼻科を受診すれば大丈夫です。例えば聴神経腫瘍(脳腫瘍)は脳神経外科、ラムゼイ・ハント症候群は主に内科の病気で難聴を呈するものですが、耳鼻科のお医者さんが必要に応じて紹介してくれます。
検査
聴力検査
健康診断などでも行われている検査で、オージオメーターという機械で、音の高さごとに、どれくらいの強さの音なら聞こえるのかを調べます。
聴性脳幹反応(ABR)
左右の耳たぶと頭部に電極を付け、ヘッドホンから音を聞いたときの脳波の変化を調べます。音が伝わる経路(内耳から脳まで)の中で、どこに異常があるか調べることができます。
頭部CT、MRI検査
急な難聴の原因として多いわけではありませんが、聴神経腫瘍(脳腫瘍)や脳卒中(脳出血、脳梗塞)の診断に役に立ちます。
治療
原因の病気に合わせた治療を行います。必要に応じて、補聴器を使用します。
セルフケア
長引く症状であれば、お医者さんと相談しつつセルフケアを行なっていくことも重要です。一方で、急に症状が出てきている人では、まずは原因を突き止めることが先決です。そのため、セルフケアよりはまずは耳鼻科を受診してください。